もしご自身の病院に何度注意しても言うことを聞かず、
周囲に悪影響を及ぼす問題社員がいたら辞めてもらった方がいいでしょう。

ある動物病院では分院長が院長の理念に反する問題ある言動が多く、
その分院のスタッフも悪い方向に染まってしまいました。
その中でも真面目なスタッフは辞めてしまったり、人を入れても
退職者が続出するという状況が続いたのです。

私は院長に

この分院長は早く辞めてもらった方が良いと思います。
こういうトップがいると部下も悪い方向に変わっていってしまう
可能性が高く、組織がボロボロになります。

と言いました。

30名以下の組織に問題社員が1人いると悪影響が出てきます。
多くの動物病院は10名以下のスタッフが働いています。
大きいところでは30名くらい、分院をいくつも持っている
動物病院では100人以上になります。

10名以下の動物病院で問題社員が1人いると院長のストレス度は
かなり高くなります。
10名以下ですとマンパワー的にはギリギリの場合が多く、
1人機能しないだけで全体のパフォーマンスが下がります。

スタッフ数が10人以下ですと院長の目が届く範囲ですので、
問題社員のことが目につきます。
注意しても言うことを聞かない、反抗的な態度をとるといった
ことが続くとイライラして精神的にも良くない状況が続くことで
ストレスが溜まっていきます。

問題社員とは、自分がやるべきことをやらずに権利ばかり主張し、
注意指導されても改善しようとせず、
会社の方針にも従わずに自己中心的な言動で
組織に悪影響を及ぼす社員のことを言います。

問題社員の中でも厄介なのは、アンチ院長の存在です。
院長が言うことを否定したり陰で文句を言ったりします。
他のスタッフにも悪影響が及び、仲間に引き入れたりするので
問題社員が増えていくこともあります。
私はこうした問題社員のことを半会社勢力と言っています。

反会社勢力とは、会社の方針に従わず、
自分本位の身勝手な行為や迷惑行為により、
組織に悪影響を及ぼす社員のことです。

私の経験上、半会社勢力のスタッフに関しては改善の
見込みはほぼ０です。
したがって早く辞めてもらった方がお互いのためだと思っています。

半会社勢力に限らず、自分の病院に問題社員がいても院長はどうしていいか
分からないため、揉めるのも面倒なので放っておくことが多いです。

日本の法律では社員は簡単に解雇できないというのは、ご存じかと思います。
しかし何もせずに放っておくのは最悪の一手となりますので私は院長に
以下のように助言しています。

本人と話し合い、なぜ反抗的な態度を取っているのかを聞く。
小細工はせず直球で。
話を聞いて院長に問題があるのであればそれは改善する。
しかし今のままの態度だと仕事をするうえで困るので
改めてほしいと伝える。

まずこのように問題社員と話して頂きます。
話しの中で、本人から辞めるという話も出るかもしれません。
本人が辞めるというのであれば、辞めてもらった方が良いです。

辞めない場合は、問題点を改善してもらうことになるのですが、
注意指導を繰り返しても直らない、もしくは直す意思がみられない
のであれば退職勧奨をします。

退職勧奨とは、退職してもらいたい人に交渉して自主退職を
促すことです。

お互い嫌な思いをしながら仕事をするのであれば、
辞めて別の環境で働いた方が良いです。

労務管理において
社員を守ってくれる法律はあっても、
経営者を守ってくれる法律はありません。
だからこそしっかりと予防をしていく必要があるのです。

私は社会保険労務士として多くの労働問題の相談を受け、対応してきましたが
労働問題の最大の予防策は、スタッフの教育と良い組織作りにあると実感して
います。